クラゲ展示で世界最大級!山形・鶴岡「加茂水族館」 展示の魅力を徹底紹介
選択なし
山から川、そして海へ。自然の流れをたどりながら、出会うのは世界最大級のクラゲ展示。鶴岡市・加茂水族館の展示は、飼育員の工夫や地域の文化、環境への想いがたっぷり詰まっています。今回はその舞台裏から見どころまで、飼育員の方に伺ったお話をもとにご紹介していきます。
自然を旅する順路 ― 山から海、そしてクラゲへ


館内を歩くと、生き物の展示は鶴岡を含む庄内エリアに生息する水辺の生き物から始まり、展示順路は山から川、そして海へと自然のつながりを追体験できる構成になっています。後半に広がるのは多彩なクラゲの世界「クラネタリウム」。水槽を巡るうちに、まるで自分が自然の中を旅しているかのような気分を味わえるのも加茂水族館ならではの魅力です。そしてクラゲ展示の最後に登場する直径約5mの大水槽。幻想的に舞うミズクラゲの姿に、思わず息をのむでしょう。

海の色をそのままに 照明へのこだわり

加茂水族館の展示には「極力、海と同じ色を見せたい」というこだわりがあります。そのため水槽はカラフルなライトで演出することはなく、自然な色合いを大切にし、使用している照明にもこだわっています。
例外は、発光を観察できるオワンクラゲ。ここでは紫外線ライトを使い、クラゲが持つ不思議な光を体験できる特別な展示となっています。

常に進化し続ける展示の舞台裏

加茂水族館の展示は、飼育員の方々がチームとなってアイデアを出し合いながらつくり上げています。複数の飼育員がそれぞれの展示に関わることで、チーム内で情報を共有し、誰でも対応できる体制に。
アンケートなど来館者の声をもとに、日々改善を重ねています。館内ではバックヤードツアー(有料)も定期的に開催され、飼育メモやエサの管理方法など、情報をどのように共有しているか垣間見ることができ、展示の裏側にある工夫を間近に感じられますよ。
原寸大クラゲから魚の豆知識まで ― くらべて学べる楽しい展示

加茂水族館には、見て楽しむだけでなく「知って驚く」展示も充実しています。たとえば、野生のエチゼンクラゲの大きさを実感できる原寸大パネルはその大きさに驚いてしまうはず。実物を飼育するには巨大な水槽と大量のエサが必要なため、なかなか難しく、まずはその迫力を伝えたいとしてパネル展示を導入されたそうです。
さらに、ヒラメとカレイの違いや、イカ墨とタコ墨の違いなど、身近な海の生き物を“くらべて知る”展示も人気。子どもから大人まで新しい発見を楽しめる工夫が随所にあります。


魚と食文化 ― 鶴岡ならではの学び

加茂水族館には、地域の食文化と結びついた展示も数多くあります。わかりやすい図解で紹介される地域の漁業、海と川のサケの塩引きの違い、タラの部位ごとの料理法など、地域の暮らしに根ざした食を学ぶことができます。
また、春夏秋冬の庄内浜の魚や料理を紹介するパネル展示も充実。鶴岡を訪れたからこそ、地域を知ってほしいという思いが込められています。


海ゴミから考える環境問題

展示の中ほどでは、コロナ禍を経て「海ゴミ展示」が新たに登場しました。壁際に並ぶ7つの水槽に漂うのは、すべて海ゴミ。ビニール袋をクラゲと勘違いして食べてしまうウミガメの話を耳にしたことがある方も多いかもしれませんが、水槽で漂う様子を目にすると「これは勘違いしても仕方ない」と実感します。
近年はSDGsの重要性も高まる中、水族館の責務のひとつとしてこの展示を展開。解説文も飼育員が一文字ずつ記しており、私たちの生活と海の環境が密接につながっていることを改めて教えてくれています。


クラゲ100の質問 ― SNSから書籍へ

コロナ禍にSNSで始まった「クラゲ100の質問」。飼育員が寄せられた疑問に直筆イラスト付きで答え続け、館内でも人気の展示となりました。現在も毎週のように質問が寄せられますが、大半はこの100の質問でカバーされているそう。新たなマニアックな質問が集まれば、また回答していくとのことです。
この取り組みは書籍化もされ、関係する大学の先生等の協力によってコラムも追加され、より充実の内容に。ただし、直筆イラストの回答は館内展示でしか見られません。すべてに目を通せば、クラゲへの理解がさらに深まるはずです。


小さな水族館から世界最大級へ ― 加茂水族館の歩み

かつては経営の危機にも直面した加茂水族館。しかしクラゲ展示に力を入れたことをきっかけに、今では世界有数のクラゲ水族館へと成長しました。館内にはその歴史をたどる展示もあり、挑戦と工夫を重ねてきた歩みを知ることができます。これからも展示が追加され、歴史が刻まれていきます。今後の展開も楽しみです。


新しい“好き”を見つける場所

加茂水族館のすべての展示は“興味のきっかけ”を持ち帰っていただけるよう工夫されています。「このクラゲ、なんだか好きかも」という小さな発見から、魚や食、環境への関心まで。ここでの出会いが、あなたの新しい“好き”につながるかもしれません。
■リニューアルオープン&臨時休館のお知らせ
加茂水族館は研究棟の増設に伴うバックヤードの強化を行い、展示のさらなる充実を目指しています。そのため【2025年11月~2026年3月】の期間は臨時休館となりますが、2026年春には展示種類数を80種から100種へと拡大した、より見応えあるクラゲの世界がお迎えします。新しい加茂水族館にどうぞご期待ください。