湯田川温泉に広がる新たな味わい 冬の名物へ――ジビエ料理への挑戦
湯田川温泉
湯田川温泉の新たな取り組みとして開催された勉強会にお招きいただき、取材を行いました。今回は、今後の湯田川温泉の魅力づくりにつながるその内容を、速報的にご紹介します。(2025年12月)
湯田川温泉で始まる、新たな“冬の味覚”づくり

鶴岡の奥座敷として親しまれ、名湯として多くの人に愛される湯田川温泉。
春には名物・孟宗筍(もうそうだけ)料理を求めて訪れる方が増え、季節の恵みとともに楽しむ温泉地として知られています。
しかし近年、孟宗筍がイノシシによる食害に遭うケースが増加。地域の自然と食文化が脅かされる状況が続き、課題として向き合う必要がありました。
そんな中、湯田川温泉では“食害を地域の新たな資源へ”と発想を転換し、ジビエ(野生鳥獣肉)料理への挑戦が始まりつつあります。

湯田川温泉で開催されたジビエ勉強会

その一歩として、開催されたものが今回取材させていただいた湯田川温泉街で開催されたジビエの勉強会です。
湯田川温泉からすぐの田川地区にある山形県内初のジビエ処理施設「たがわジビエ」とともに湯田川温泉の旅館関係者が参加。この日、手配されたのは体重120kgの雄イノシシの半身。皮をはぎ、内臓を取り除いた半身だけでも約40kgという迫力ある大きさで、参加した旅館の方々からも驚きの声が上がりました。
旅館の皆さんも積極的に質問しつつ、部位や処理のポイントを丁寧に説明いただきながら、ヒレ・ロース・バラなど各部位ごとに取り分ける作業を体験されていました。つかさや旅館の若旦那の「性別や個体差で肉質が変化するため、実際に触れて学ぶことが大切」という言葉が印象的で、真剣に取り組む姿勢から“湯田川らしいジビエ料理”を模索する意気込みが伝わってきました。


試食で広がるアイデア
”湯田川ならでは”の一皿を目指して

作業後には、それぞれの部位をシンプルに塩だけで焼いた試食が行われました。
参加者からは「おいしい」「この脂は焼いた方が」など、感想とともにその場で料理のアイデアが次々と交わされ、湯田川温泉ならではの料理への期待が高まります。
今回得られた肉は後日、旅館ごとに分けられ、実際にまず調理してみる試作に活用される予定です。
(取材としてご相伴にあずかりましたが、臭みがまったくなく、脂に甘みのある旨味豊かな味わいで驚きました。)

「めぐる命にする仕事」
地域の循環を支える人々への敬意

「たがわジビエ」の方の名刺には『めぐる命にする仕事』という言葉が記されていました。
ただ捕獲・処理を行うだけでなく、野生動物の命を地域の食へと丁寧につないでいこうとする姿勢には、深い使命感と誠実さが感じられます。その真摯な取り組みには、まず何より強い敬意を抱かずにはいられません。
そして、その想いを受け取り、学び、実際に調理へと活かそうとする湯田川温泉の旅館の皆さんの姿勢もまた、地域の食文化を未来につなごうとする誠意に満ちていました。
ジビエという新たな食の可能性に向き合い、命を無駄にしない形で“湯田川ならではの味”を生み出そうとする姿に、取材を通してこちら側も深く感銘を受けました。
命に敬意を払いながら、地域が手を取り合って食の未来をつくっていく。その尊さを心から感じさせてくれる時間でした。湯田川温泉のジビエ、今後の展開にご期待ください。

12/21開催「開運湯治だ I♡♨」で
ジビエを使った限定メニューが登場!


そして、ジビエを実際に味わってみたい方へ朗報です。
2025年12月21日開催のイベント「開運湯治だ I♡♨」では、今回扱われたイノシシ肉を使った特製ジビエバーガーなど、イベント限定のメニューも提供される予定です。
湯田川温泉が挑む“冬の新名物”を、ぜひこの機会に体験してみてください。
温泉街ではそのほかにも多彩な企画が予定されていますので、冬の湯田川であたたかい時間をお過ごしください。
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