


湯殿山の麓、庄内と山形地方を結ぶ六十里越街道沿いに集落をなす田麦俣は、11月に降った雪が翌年の5月まで消えないという全国でも有数の豪雪地帯。
江戸時代には、出羽三山参詣のための道者宿をしたり、強力や馬子をつとめて生活していましたが、明治維新後、三山参りの減少など街道集落的な性格が薄れ、田畑を耕し炭焼きなどの山仕事をする傍ら、養蚕を生業とするようになりました。
この地方の代表的な当建物は、そのため創建当初の寄棟造りの破風窓のある妻の部分を切り取り、養蚕場として十分な採光通風の窓(高ハッポウ)としたので、現在のような美しい輪郭と反りをもった「かぶと造り」という独特な外観の民家が出来上がりました。
この民家は、部屋の天井を高くし、高窓を設けるなど雪国らしい手法がみられ、構造は上屋柱と下屋柱からなり、小屋はさす組、軒はせがい造りとなっています。
移築工事中にみつかった文献から、文政5年(1822年)に建てられたものであることがわかっており、内部も昔の暮らしぶりそのままに保存されており、年輩の来館者からは、なつかしいとの声があがることもしばしばだとか。
生活様式の変化により無くなりつつある山村文化を残そうと、昭和40年(1965年)に致道博物館へ移築されました。昭和44年には国の重要文化財に指定されています。映画「蝉しぐれ」のロケも行われました。