HOME > ジャンル別 > 歴史 > 致道館 > 教育 > 致道館の教育(2)

3.致道館の教育

(2)自学自修と会業・・・学問は教わるものではない

講堂の写真

生徒たちは、別表(致道館の学制)にみられるような定めに従い、経書中心の修学に励みました。

句読所(小学校)には担任教師がいて指導しますが、少数の英才教育となる終日詰(中学校)以上は、自分が立てた計画に従って自分のペースで進める「自学自修」と、当番生徒の発表について話し合ったり、同じ書を読んで討論したりする「会業」と呼ぶゼミナール形式の方法が中心でした。会業は、自学自修の結果を確かめたり、深めたり、反省したりする、極めて効果的な修学法として重視され、出席が義務づけられていました。

また「学問は人から教わるものではなく、自分で学びとるものだ」ということが強調され、教師は生徒たちの学習相談にも、進め方や調べ方の手がかりを与えるだけでした。

教師たちも会業を開き、教材の研究成果を発表し合い、共同研究に努めました。その回数は職掌によって異なり、月に3回から18回までありましたが、最も多いのは助教でした。これは生徒たちの会業に出席し、会頭として助言や指導をするのが本務ですから、重視されたのでしょう。そのほかに、司業(副校長)が助教を対象として開く勉強会が3回ありましたから、助教たちは毎月21回ずつ研修会を開いていたことになります。

 

●致道館の職制

致道館の職制
区分 内容
祭酒釈奠を司る。学校経営の責任者で、今の校長にあたる。
司業2〜3名。子弟教育の責任者で、今の副校長か教頭にあたる。
学監2〜3名。学校の取締りと子弟の監督を兼ねる。
助教14〜15名。主に会業を司る。
典学5名。事務を司り子弟の監督も兼ねる。
句読師9名。年少の子弟に句読を授ける。
司書2名。図書を司る。
地盤掛典学の兼務。経理を司る。

私事になりますが、これについて思い出される方が一人おります。それは全人教育を唱えて、玉川学園を創設された小原國芳(おばらくによし)先生です。先生は、山形県民歌「広き野をながれゆけども最上川うみに入るまでにごらざりけり」を愛され、本県で行う講演会の際には、先ず聴衆に請うて起立斉唱の後、お話されるのを常とされたようですが、私は縁あって先生の色紙を一枚大事にしております。それには穏やかな筆づかいで「進みつつある教師のみ人を教うる権利あり」と書いてあります。

 
次頁へ